父の癌・・告知について考える。
父は胃がんと肝臓がん、二つのがんになりました
胃癌がわかる前はとても元気でお正月には一緒にお酒も飲みました
それから暫くして実家にいた姉から父が胃癌で手術をすると聞いた時には驚きました
あんなに元気で顔色もよくお酒飲んで楽しそうに笑ってたのに・・・
手術は無事に終わり薬を飲みながらですが仕事も出来るようになり安心していました
ですがその安心も長くは続かず今度は肝臓がんになってしまいました
私は実家に帰り大学病院で父のがんについて主治医から説明を受けたのですが転移ではないとの事でなんだかなあと悔しい思いがしました
胃がんの手術後、5年経過すればがんは完治するものだと私も家族も信じていてその5年経過が目前だったのです
肝臓がんが見つかった時には余命2か月になっていました
胃癌を手術したあと定期的に検査に行っていたのに見つからなかったんだなあと残念に思いました
胃癌と肝臓がんを違う病院で手術したので病院によっても色々あるのだろうと納得するしかありませんでした
手術は成功したのですが元気を取り戻すことなく術後3か月、この世を去りました。
父が亡くなって後悔している事がひとつあります
父は自分が癌だという事を知らないまま亡くなりました
いえ、もしかしたらわかっていたのかもしれませんが我が家で父の病気の事を話す事はほとんどなかったのです
大病で大きな手術を2回もしたのに家でその事をほとんど話さないというのは物凄く不自然でした。
父からしたら『何故誰も自分の病気の事を心配しないのだろう』と悲しく思っていたかもしれません
30年前癌の告知は今ほど主流ではなかったように思います
私たち家族は当然のように父に話す事はしませんでした
当時はそれがいいと思っていました
父に癌という事を知られまいと家族が強く結託し病気の話題は絶対に出ない様にしていました
でも父が亡くなった後、今でも時々考えるのです
何故父の最期は、家族とはいえ父以外の人間の手に委ねられてしまったのだろうと・・
父に何かがあれば父本人にではなく、真っ先に家族のところに連絡があり隠さねばならない治療方法などがそこで父抜きで話し合われるのです
では告知ができない程父は弱い人間だったのか?そんな事はなかったのです。
父の人生・・・
最初に胃癌がわかった時に全てを話してあげていたらその後の父の人生はもう少し充実したものになっていたのではないだろうか?
父の最後の数年間を、父に癌だという事を隠し、私達はそんな父に対していったいどんなフォローが出来ていたのだろうか?
私達は何もやってあげられませんでした
細く消えつつある命の火をただ見つめているだけでした
だから今でも後悔しています
私は癌になったら絶対知りたいと思います(まあ自分で知るしかないんですが)
残り僅かな、限られた時間・・やりたい事、やらねばならない事きっとたくさんありますものね。
お父さんも絶対あったよね、残された時間でやりたかったこと。
以前息子と出掛けた時に見かけた大根
大根の自己主張・・スバラシキカナ